JABEE認定制度 02/その他の管理技術力の解答例

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JABEE認定制度 02/その他の管理技術力の解答例

問い

 建設コンサルタントにおける JABEE認定制度 について、以下の点について述べなさい。
① JABEE認定制度 について、その概要について述べなさい。
② 建設コンサルタントにおけるJABEE認定制度 の今後の課題について述べなさい。
 JABEE認定制度は、日本技術者教育認定制度などと訳されている


解答例

1.JABEE認定制度の概要
 JABEE認定とは、国際化のため、EMFの求める「ワシントンアコード認定大学卒業生と同等の学業レベル」を保証するための制度で、大学など高等教育機関で実施されている技術者教育プログラムが、社会の要求水準を満たしているかどうかを外部機関が評価し、要求水準を満たしている教育プログラムを認定する専門認定 (Professional Accreditation)制度である。
(1)技術者教育の認定
 技術者教育の認定とは、以下の二つを行い、基準を満たしている技術者教育プログラムを公表することで、そのプログラムの修了者が将来技術業等につくために必要な教育を受けていることを社会(世界)に公表することである。
①教育プログラムで技術者教育の質の保証が確実になされているかどうかの確認、「質の保証システム」の監査(Audit)
②保証されている水準が定められた認定基準以上かどうかの審査
(2)教育プログラム
 「教育プログラム」とは、カリキュラムのみならず、教育方法、教育設備・環境、教員、評価等を含む全教育システムで、一学科に複数存在してもかまわない。
 「教育の質を保証する」とは、プログラムに関与する全ての関係者(学生を含む)が、適切な学習目標の設定やその達成に関して何をなすべきかを認識し、確実に実施し、学習目標を達成した学生のみを卒業させ、さらに学習目標とその達成度のレベルを継続的に向上させていることである。
(3)学習目標
 「適切な学習目標」は、学問的水準、社会の期待、学生の希望、雇用者の要求、専門職の要求等種々の要求(水準も含む)を考慮して教育側で決定すべきものである。
 質の保証(Quality assurance)は、関係者の全てが、本当に何をすべきかを認識し、なすべきことを確実に実施し、かつ継続的に改善していかなければ達成できない。教育プログラムにおける質の保証は教育機関でなければできないし、義務と考えるのが、世界の動向である。
2.JABEE認定制度の課題
(1)現状と問題点
 2001年度にJABEE認定制度がスタートして以来、多くのプログラムの審査・認定が実施されている。JABEE認定プログラム修了生も2004年度には1万人を超え、審査員も毎年養成しており現在約1000人の審査員資格者がいる。
 このようにほぼ順調に日本で初めての専門認定の制度が定着しつつある。しかし、下記のような懸念事項があり、さらに改善していく必要がある。
(2)画一化を助長し個性化への妨げとなる懸念がある
 基準、特に分野別要件が教育の画一化をもたらし、また個性化や教育改革の妨げとなるという意見がある。最も懸念されるのは、分野が従来の学問・技術分野となっており、新たな分野や融合的分野が排除されるのではないかということである。
(3)有名大学の認定プログラムが少ない
 現在、北海道大学、東北大学、東京工業大学、慶應義塾大学、早稲田大学、名古屋大学などの一部のプログラムが認定されているが、東京大学、京都大学、大阪大学、九州大学などではまだ認定プログラムがない。JABEEの産業諮問委員会からは、これらの大学のプログラムが少ないのは問題であると指摘されている。
(4)産業界におけるJABEE認知度が低い
 JABEEを知らない企業が多いのは歴史が浅いため当然でもあるが、有名大学における認定プログラム数が少ないこと、大学院認定がないこと(大企業では修士修了生の採用が多い)、就職活動が早く認定プログラム修了生かどうかが分からないことなども関係している。
(5)大学院プログラムの認定がない
 大企業では企業によっては80%以上が修士修了生であり、修士プログラムの認定希望が強い。また、建築分野では、大学院プログラムの認定制度がないと国際的職業資格を得るのが困難となりつつある。さらに重要なことは、大学院修了生のレベルが低下している恐れがあることである。従って、JABEEでも大学院プログラムの認定について検討しているが、以下のような問題がある。
①審査を担当する学協会は学部認定で手一杯であり、大学院プログラムの審査まで実施するのは容易でない。
②大学も学部認定その他で忙しいのでどの程度希望するか不明である。
③ワシントン協定では学部プログラムの認定が主になっているため、国際的同等性というメリットが少ない。
(6)認定効果への懸念がある
 認定を受けたプログラムからは、教員の教育に対する認識が深まった、学生の勉学意欲が増した、などの良い効果があるが、一方では、学生に認定のメリットを説明するのに苦労するという意見が多い。また、産業界からは、認定プログラム修了者は学習・教育目標の達成が本当に保証されているのか、期待される学生が本当に輩出しているのか、産業界に入った後の活躍はどうか、などの質問が多い。
(7)デザイン教育への懸念がある
 基準1でデザイン能力を要求しているが、ワシントン協定査察員から、JABEEの審査におけるデザイン教育への取り組みに懸念が示された。
(8)認定の最低水準が明確でない
 各プログラムにおける水準は各プログラムで決定し、審査員はそれが妥当かどうかを判定することにしている。しかし、これでは審査員の任意性がでるので、統一的最低水準をJABEEで決定すべきであると意見がある。
(9)学習・教育目標達成の評価方法が明確でない
 プログラム側では各プログラムの学習・教育目標を全ての修了者が達成していることを審査員に示さねばならない。この方法をJABEEが示すべきだという意見があるが、これは教育側の責任である。また、ABETでは審査員はかならずしも評価の専門家である必要はないとしている。
(10)審査が証拠主義で受審準備に時間がかかり過ぎる
 審査ではプログラム側の主張にはその裏づけとなる証拠が要求されるが、過度の証拠主義は避けねばならない。状況から明瞭に信用できる場合には必ずしも物的証拠がなくても良い場合もあるであろう。今後事例を集めて審査方法の改善、審査員の質の向上に努力する必要がある。
(11)国際的に通用しにくいプログラム名称が少なくない
 ワシントン協定加盟国の多くではプログラム名にEngineeringがないと認定審査対象外となる。一方、日本では高校生に好印象を与えるという理由で、プログラム名を決めることがあり、教育内容が理解し難い場合が少なくない(また、工学部でありながら「・・科学」という名称も少なくない。)。このような名称では国際的には通用しないし、社会にとっても不便であることを教育関係者は自覚すべきである。
                             - 以 上 -


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