建設コンサルタントの人材確保と働き方改革/RCCM試験、問題3 管理技術力の論文例


テーマ「建設コンサルタントにおける人材確保と働き方改革」について、RCCM試験、問題3 管理技術力問題の解答論文例です。




設問:建設コンサルタントにおける人材確保と働き方改革 01

設間①②について、次の6つの用語、「建設コンサルタントの役割」「担い手確保」「若手技術者の育成」「普及・啓発」「長時間労働」「OJT」「生産性向上」「ダイバーシティ」「多様な働き方」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。
用いた用語は、解答用紙の文中にアンダーラインを引いて強調すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。

 ① 建設コンサルタントの人材確保・ 育成のあり方
 ② 建設コンサルタントの働き方改革のあり方

○ 求められるキーワードには、★印を付けています。

1.人的資源の観点から見た建設コンサルタント業界の現状

 「経営資源」とは、企業が経営を行う上で必要とされる要素を指す言葉であり、一般的に「ヒト」・「モノ」・「カネ」・「情報」の4つが主要な経営資源とされている。いずれも企業活動に欠かせない要素だが、とりわけ調査・企画・設計といった専門的な技術サービスを提供する★建設コンサルタントの役割を考えると、「ヒト」こそが最も重要な資源であると言える。

 それゆえ、建設コンサルタント企業が持続的に発展するためには、★担い手確保と人材の育成は不可欠なものであるが、現在、建設業界は深刻な人手不足に悩まされている。その要因としては、少子高齢化による生産年齢人口の減少によるところも大きいが、建設投資の減少により収益が悪化してることから、他業種よりも処遇や職場環境の改善が遅れていることも原因として挙げられる。

 このような現状を踏まえ、現在および将来にわたる公共工事の品質確保と、人材の育成・確保を目的に、「担い手3法(品確法・入契法・建設業法)」が平成26年6月に改正された。また、建設業の★担い手の確保・育成に向けて、国土交通省と厚生労働省が連携するなど、人材の採用から育成、定着まで幅広く支援する、中・長期的対策が官民を挙げて計画的に進められている。

2.★担い手の確保と人材の育成にまつわる5つの課題

 建設業全体で職人不足・後継者不足は問題視されているが、これは、技術サービスを提供する建設コンサルタントにおいても同じであり、★担い手の確保と★若手技術者の育成は急務の課題となっている。

課題(1) 経営状況の悪化

 建設投資が減少してきたことで価格競争が激化し、低価格による受注(ダンピング受注)が蔓延している。建設コンサルタントの売上高を見ると、最低の状況を脱しつつあるが、純利益はやっと黒字が出せる程度にすぎない。その結果、本来最も重要な経営資源となる「ヒト」が軽視され、若年入職者の減少や早期離職者の増加といった問題へと発展したと考えられる。

課題(2) 従業員の少子高齢化

 建設コンサルタンツ厚生年金基金のデータによると、平成27年における年代別人数比率は、20代は12%、30代は18%、40代は33%、50代は21%となっている。現状のまま推移すると10年後には従業員の半数が50代以上となり、少子高齢化がさらに進むことが見込まれる。

課題(3) 早期離職者の増加

 20代・30代の職員が少ない理由としては、若年入職者が減少していることに加え、離職者が多いことも原因となっている。離職の背景には、社内の人間関係のみならず、待遇や★長時間労働など、職場環境への不満によるところも大きい。育成段階にある若手技術者の流出は、技術の空洞化を招く恐れもあるため、環境改善に向けた取り組みを行うことが必要とされる。

課題(4) 女性技術者の採用が進まない

 建設コンサルタント企業も他業種と同様に、女性技術者の積極的活用に取り組んでいるが、技術系では全体の1/4程度にとどまっている。工事事務所においては、女性更衣室やトイレといった環境面の整備が追い付いていない現状もある。また、★長時間労働や納期の年度末集中など、就業環境についても課題が多い。

課題(5) ★OJTに比重をおいた技術継承の限界

 建設業界の技術継承は、他業種と比較して、実際の業務を通して先輩社員が部下に指導を行う職場内訓練「★OJT(On-The-Job Training)」の比重が高い。しかし、人手不足が進む現在は、ベテラン社員と若手が分業せざるを得ない状況にあるなど、★OJTに重きをおいた技術継承は限界にきている。加えて、業務が高度化、複雑化しており、ベテラン技術者が持つ経験則「暗黙知」をどう次世代へ継承していくかが課題になっている。今後、さらに多様化した社会において、新たな技術課題に的確に応えていくには、★OJTで学べる専門知識はもちろんのこと、もっと幅広い領域で奥行きの深い技術習得が必要になる。

3.建設コンサルタントにおける人材確保・育成のあり方

 自然災害のリスクや公共施設の老朽化などの対応に向け、建設コンサルタントが果たす役割は今後も増すと考えられるが、安全・安心な社会資本を支える、高品質なサービスを提供し続けるためには、能力のある人材の確保と技術者の育成が重要となる。以下に、そのあり方について述べる。

(1) 収益力の強化と経営の安定化

 経営状況の悪化を、政治や市場、景気など外部環境にのみ求めず、社内にも目を向け改善に取り組む必要がある。取引条件の見直しや新技術導入による業務の効率化、新事業や海外事業の展開、新規市場の開拓なども視野に入れ、収益力の強化と経営の安定を図らなければならない。

(2) 能力・経歴・労働力に見合った給与体系

 低価格による受注が影響し人件費は減少している。そのため、他の知的産業に比べ賃金水準が低く、有能な人材が集まりにくい状況にある。人材の確保・育成には、厳しい経営状況の中でも、能力や経歴、労働力に見合った賃金を支払うことが必要とされる。

(3) ★長時間労働の是正

 平成28年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」のなかで、最重要テーマとして位置づけているように、★長時間労働の是正は、今や国をあげての課題となっている。★長時間労働は、健康を害するだけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、女性のキャリア形成や男性の家庭参加を阻み、ひいては少子化の原因ともなっている。
 ★長時間労働を改善することにより、仕事に必要な知識や技能を身につける時間的余裕が生まれるほか、★生産性の向上や★多様な働き方への対応が可能になるなどメリットは大きい。しかし、仕事量に対し人手や時間が不足している状態では、★長時間労働の是正は困難である。そのため、仕事の効率化や省略化を図ると共に、取引先へ理解を求めることも重要となる。

(4) ★多様な働き方に向けた取り組み

 「ノー残業デー」や「完全週休2日」をはじめ、「児休業制度」や「介護休業制度」、「裁量労働制」、「フレックスタイム制」、「半休制度」、「在宅勤務制度」など、優秀な人材を呼び込み、定着させるためには、★多様な働き方を可能とする制度を整え、広く★普及・啓発しなければならない。
 また、人材確保の観点から近年では、女性技術者の活用やシルバー人材の採用、外国人労働者の雇用などを積極的に行う企業も増えている。このように、多様な人材が共存する職場では、個々の従業員にとって働きやすい職場環境を作り出すことが求められる。

(5) ★ダイバーシティの推進

 人種や国籍、性別、年齢、障害等の有無といった多様性を認識した上で、組織を作り、会社の競争力を高めていこうという★ダイバーシティの推進が、建設コンサルタントにも求められている。具体的には、裁量労働制やテレワークの導入、育児・介護休暇制度の充実、再雇用の拡大などがあげられる。建設コンサルタントの場合、公共事業が多いこともあり、★ダイバーシティの推進に発注者の理解が欠かせない。

(6) 人材育成の充実強化

 人材育成の大半は、企業内における教育・研修プログラムや、受注した業務遂行による★OJTである。そのほか、各種セミナーや複数の企業が連携した研究会、施工者などと連携した研修会も行われているが、計画的に人材育成を行なっている企業は少ないと言える。
 現在は、技術が高度化、複雑化しているため、「★OJT」と職場外での教育訓練「Off-JT」を組み合わせた育成を行うのが望ましい。より効果的なOff-JTを行うためには、ベテラン技術者が持つ熟黙知を形式知に変換することが求められる。そうすることで、若手技術者は、現場の状況に左右されずに知識を得ることが可能になる。そして、Off-JTで学んだ知識を★OJTで使い、技術を自分のものとして習得していくことが重要となる。
 また、★若手技術者の育成については、管理技術者かつ担当技術者に若手技術者を配置することを参加要件とする試行が拡大しており、今後も更なる試行の導入が望まれる。しかし、地方整備局によって若手の定義が異なるなど、整備しなければならない課題も見受けられる。
                             - 以 上 -


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